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住宅の性能を表す等級は、わかりにくい家の性能を比べやすく示した基準です。この等級にはどのようなものがあるのか、その内容を知っておくと、自分たちの納得いく住まいが見つけやすくなります。今回は家づくりを検討中の方に向けて、住宅性能の等級について詳しく解説します。
住宅性能の等級とは
住宅性能の等級とは、国が定めた「住宅性能表示制度」の中で示されている、家の性能を評価する指標です。
例えば「耐震等級」という項目では、耐震性能が高い順に3から1までの等級が設けられています。そこでより地震に強い家を建てる場合は、耐震等級3をクリアすれば良いことがわかります。この住宅性能の等級を知っておくと、より質の高い家を選びやすくなるはずです。
住宅性能表示制度の10分野
住宅性能表示制度には、家の性能を評価する10分野の基準があります。まずはその10分野の基準についての概要をお伝えします。
①構造の安定
構造の安定とは、建物が地震や暴風などの大きな力を受けたときに、柱や梁といった骨組みがどれくらい耐えられるかを評価したものです。評価対象は耐震等級や台風等級、耐積雪等級など7項目あり、他の分野に比べ多くの項目について評価しています。
②火災時の安全
火災時の安全は住宅内や近隣で火災が発生したときに、人命と財産が守られることについての基準です。人命にかかわる分野であるため、評価対象は警報装置の設置や脱出対策、耐火性能など7項目にのぼり、構造の安定とともに多めになっています。
③劣化の軽減
劣化の軽減では、住宅に使われる材料の劣化を遅らせる対策が、どれくらい取られているかなどを示す基準です。家の骨組みや土台、床下などの作りについて、建物の工法ごとに評価します。
④維持管理・更新への配慮
維持管理・更新への配慮は、内外装で隠れてしまう給排水管やガス管などに対する、点検や清掃、補修のしやすさを示す基準です。戸建て住宅では骨組みや、壁などの仕上材を傷めずに点検や補修ができるかを評価します。
⑤温熱環境・エネルギー消費量
夏は涼しく冬は暖かいといった快適に過ごせる家かどうかや、電気などのエネルギーをあまり使わない家になっているかを示す基準です。建物の外壁や窓の断熱性能、設備の省エネルギー性能などを評価します。
⑥空気環境
家の中の空気中には、建物を傷める結露の原因となる水蒸気や、健康への影響が心配される物質が含まれています。それらの濃度を抑えるための対策がどれだけ取られているかの基準です。内装材に使う材料のホルムアルデヒド対策や、換気対策などが評価対象になります。
⑦光・視環境
家の中での作業に必要な明るさを確保し、風通しや心理的な開放感が得られるように窓が設置されているかの基準です。家の床面積に対する開口部の面積割合や、その向きなどが評価されます。
⑧音環境
外の騒音が家の中に聞こえやすいかを示す基準です。戸建住宅においては居室に設けられた窓が、どれぐらい外の音を抑える性能を持っているかで評価します。
⑨高齢者等への配慮
高齢者が安全に、かつ体への負担がなく生活でき、車椅子を使い介助者の助けを借りるようになったときでも生活しやすいかを示しています。寝室と同じ階にトイレや浴室があるか、出入り口の段差や手すりがあるかなどで評価します。
⑩防犯
侵入窃盗犯による被害を防ぐ対策が、どれくらい講じられているかの基準です。玄関や窓、勝手口などに2つ以上の鍵が付けられているか、防犯ガラスや雨戸、シャッターなどが採用されているかを評価します。
特に大切な必須の10項目
住宅性能表示制度の10分野の中には、合わせて33の評価項目があります。そのうち特に家の性能として必須とされている以下の10項目を、分野ごとにご紹介します。
①耐震等級
②地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止
③地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法
④基礎の構造方法及び形式等
⑤劣化対策等級
⑥維持管理対策等級(専用配管)
⑦維持管理対策等級(共用配管)
⑧更新対策(共用排水管)
⑨断熱等性能等級
⑩一次エネルギー消費量等級
「構造の安定」分野
「構造の安定」という分野は、家という財産やそこに住む人の命を守るとても重要な役割を担っています。そのため他の分野より多い、4項目が必須項目に選ばれています。特に地震の多い日本において耐震等級は、家選びで必ず確認したい項目です。
①耐震等級
地震に対する構造躯体の倒壊、崩壊などのしにくさを示す等級です。耐震等級1は現行の建築基準法レベルの耐震性であり、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の耐震性能を持ちます。ここで大切なのは、簡易的な壁量計算ではなく、「許容応力度計算」で行うことです。
②地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止
建物が地震の揺れを逃がす構造の「免震建築物」であるか否かを表示します。
③地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法
地盤や、地盤改良で施工した杭について、荷重を支える力の根拠を表示します。
④基礎の構造方法及び形式等
基礎の構造や形、地盤改良で施工した杭の種類や直径、長さなどを表示します。
「劣化の軽減」分野
⑤劣化対策等級
「劣化の軽減」の分野にある劣化対策等級は、家の骨組みに使われる材料の交換といった、大規模な改修が必要になるまでの期間を示す等級です。等級1は建築基準法レベル、等級2は2世代の期間である50〜60年、等級3は3世代の期間となる75
〜90年の耐久性を持つ家になります。
「維持管理・更新」分野
⑥維持管理対策等級(専用配管)
「維持管理・更新」で示されている維持管理対策等級は、壁の中や床下にある給排水管などがトラブルを起こしたときに、迅速に発見や修理が行えるかを評価します。専用配管とは建物内の配管のうち、特定の住居だけが使う配管のことです。一戸建てでは、家の中にある配管はすべて専用配管になります。
例えば配管がコンクリートに埋め込まれていないなど、骨組みを傷めないで点検や修理が行えるようなら等級2になります。さらに等級3は内外装も傷めずに修理などができるよう、点検口を設けることなどが条件です。等級1は等級2に満たない建物となり、建てる際は慎重な検討が必要でしょう。
⑦維持管理対策等級(共用配管)
維持管理対策等級の共用配管では、マンションなどで複数の住居が共用する給排水管などに対し、点検や修理が迅速に行えるかを評価します。先ほどの専用配管の等級2の条件に、専用住居の中に立ち入らずに修理などをできることが加わります。
⑧更新対策(共用排水管)
マンションなどの共同住宅において、共用する排水管の入れ替えがしやすいように対策が取られているかを評価します。躯体を傷めず、さらに専用住居に入らず工事ができると等級2に、さらに、はつり工事や切断工事が軽減できると等級3になります。
「温熱環境・エネルギー」分野
「温熱環境・エネルギー」分野の等級は、エネルギー価格高騰による家計への影響やCO2削減への取り組みから、近ごろ特に注目が集まっています。
⑨断熱等性能等級
断熱等性能等級は家の外壁や窓などから、冷暖房による快適な温度が失われるのを防ぐ性能を表します。等級は1〜7まであり、数字が大きいほど断熱性能が高い家になります。
⑩一次エネルギー消費量等級
断熱性能に加えて、冷暖房や給湯、照明といった設備の省エネ性能を総合的に判断し、一次エネルギー消費量がどれくらい削減できるかを示します。等級は1〜6まであり、こちらも数字が大きいほど省エネ性能に優れた建物になります。
エネルギー価格高騰の中で注目したい等級
近ごろの電気料金などエネルギー価格の高騰から、新しく建てる家はできるだけ光熱費を抑えたい、という方も多いのではないでしょうか。そうした省エネの家をお考えなら、必須項目の最後にご紹介した「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」にぜひ注目してみてください。
断熱等性能等級は冷暖房費を、一次エネルギー消費量等級は冷暖房以外の設備も含めた光熱費を、どの程度抑えられるかの目安になります。家は建てるときだけでなく住んでからもコストがかかります。ぜひこの2つの基準に注目して、家計への負担が少ない快適な家づくりをしましょう。
まとめ
住宅性能の等級は、さまざまな家の性能をわかりやすく表示する基準です。特に必須の4分野10項目は、多くの方に共通した家づくりにおける重要な目安になるはずです。ぜひそれぞれの等級を確かめながら、安心して住める快適な家づくりを目指してください。
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